脱パスサッカー論―発想の転換が日本を救う!
ワールドカップが始まる前に読みました。
『』は引用部分です。
手入力なので、句読点や一部漢字表記の入力ミスがある場合もあります。
この本の著者は、「はじめに」の部分で
『選手がゴール前に深く進入していながら、いつまでもパスをつないでいるシーンにいらだったことはないでしょうか「なぜ思い切ってシュートに持ち込まないのだ」と不満を感じることが多いのは、私ばかりではないはずです。』
と読者に問いかけています。
私もそう思っていました。
そして
『私はその「なかなかシュートに向かわない」シーンこそが、本来の「パスサッカー」から脱線した筋違いの姿の象徴だと思っています。なぜそうなってしまうのか、それを変えるにはどうしたらいいのか、考えてみようと思ったことがこの本に取り掛かったそもそもの出発点です。』
とこの本を出すきっかけを語っています。
見せかけ上のパスサッカーしかしていない今、どうしたらそれを変えることができるのか、変えられない原因はどこにあるのか探っていこうということです。
この本では、おおまかに
・そもそもパスサッカーとは何か
・なぜパスサッカーが私たちを惹きつけるのか
・日本人とパスサッカーは本当に合うのか
ということについて検証しています。
純粋なサッカー戦術論だけにとどまらず、日本人の国民性や西暦600年代には、日本で行われていたであろう蹴鞠や、パスをつなぐことに関連して連歌からも日本人とパスッサッカーについて検証しています。
本のもくじをピックアップします。
『プロローグ パスサッカーというイメージ
第1章 パスサッカーの心許なき実体
1 ポゼッションが決定力を低下させている
2 ポゼッションこそがブレーキを掛けている
3チャンス構築と勝利の実態
第2章 パスサッカーはなぜ私たちを惹きつけるのか
1 より手数を掛けた結果に感じる達成感
2 リズムやテンポの変化が生む興奮
3 創り上げていくプロセスへの自負
第3章 日本人のフットボールスピリットを探る
1 蹴鞠の個人技とチームプレーの変遷
2 チームプレーと即興を楽しむ心の源泉
3 日本人と相性の良いリズムや空間
第4章 本当に日本人にはパスサッカーが合っているのか
1 「日本人らしさ」という幻想
2 パスの負の特徴と現代若者気質
3 勝ちたいなら幻想を捨てて現実を見よ
エピローグ パスサッカーの呪縛を解く 』
ブラジル大会で日本代表は、そこそこシュートは放ったのですが、やはり「ここは打ったほうがいいのでは」という場面でパスをしていた場面もあったと記憶しています。
とはいってもサッカー選手の経験がない私が考える最良のプレーよりも、ワールドカップに出るまでに多くの経験と実績を積んできた選手のプレーの選択のほうが基本的に正しいわけですし、後から結果論で語るのと、その場で限られた時間の中での判断は違うと思いますので、「いい・悪い」を判断する立場にはありません。
実際「シュートすればいいのに」という場面でシュートしたばかりに相手DFにクリアされ、そのままカウンター攻撃から失点ということもありえます。
ブラジル大会のグループリーグ敗退のおもな要因がパスサッカーなのか、肝心なところでシュートがことごとく外れてしまったことにあるのかわかりません。
もちろん、そのほかにも
・なぜ直前になって、これまでと違う起用やパワープレー戦術を取ることになったのか?
・遠藤をあまり起用しなかったのなら、なぜメンバーに選んだのか。中村憲剛を選ばなかったのか。
・フリーキックやコーナーキックでの選択肢の少ないラインアップを選んだのか(例えば中村俊輔をベンチに入れておくオプションはなかったのか)
・大久保のメンバー入りは正解だったのか
などなど、これ以外にも上げていったらきりがありません。
そもそも、パスサッカー以外に「プランB」「プランC」がないスタイルや、ポジション上のユーティリティプレーヤーは求めるのに、戦術上のユーティリティプレーヤーは求められていないのも、絶対強者じゃないチームとしてよくなかったと思います。
・パスがつなげないなら、守ってカウンターで得点を狙う。
・ボールを持っても決定機を作れないのなら、セットプレー重視や、ロングパスからの速攻
などの柔軟な対応も結果を出すためにはあってよかたっと思います。
たしかにパスサッカーのフィニッシュまでの美しさ、おもしろさは、サッカーをあまり知らない人も巻き込むような魅力があります。
ブラジル大会の日本は、ボールを持つ時間が多く、一見主導権を握っているように見えるサッカーを多くの時間帯で続けましたが、グループリーグで1分け2敗、勝ち点1と結果を出すことができませんでした。
パスをつないで、相手の守備を崩し、得点を狙うスタイルのサッカーが、日本代表らしいサッカーだといわれてきました。
パスサッカーが多くの場で語られることによって、ロングパスで前線までボールを運んで一気に得点を狙う、しっかり守ってカウンター攻撃にかけるというプレースタイルは、いまいしたの戦術とみられるようになり、日本中、小学生からJ1まで多くのチームがパスサッカーをめざすようになりました。
南アフリカ大会より前からも、日本ではパスをつないでゴールに迫るスタイルは人気でしたが、バルセロナやスペイン代表の出した結果をきっかけに完全多数派、パスサッカー原理主義かのような状況になってきました。(※すべてのサッカー人がパスサッカーを支持したわけではありません)
しかし、アジアの先では、このスタイルを貫くには、まだ力が足りなかったようです。
脱パスサッカー論―発想の転換が日本を救う!
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